筆記問題 ワンルック問題 高度問題

日本心エコー図学会認定専門技師試験 公開問題

以下に、試験問題の一部を公開します。

試験問題のウェブ公開にあたり、画像圧縮処理を要したため試験会場での動画像より画質が劣化しているものがあります。
実際の試験では鮮明な動画が表示されます。

(解答の公開は有りません)

 筆記問題 (19題)
[1]コントラストエコー法に使われる微小気泡の性質について、正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 微小気泡は、周囲組織とは異なった音響インピーダンスを有する。
  2. 微小気泡は、ドプラ偏移周波数を大きくする性質がある。
  3. 微小気泡は、超音波の反射強度を増大させる性質がある。
  4. 微小気泡は、エイリアシングを生じ易くする性質がある。
  5. 微小気泡の非線形性は、高音圧になるほど弱くなる。

[2]僧帽弁流入血流速波形について、誤っているものはどれか。2つ選べ。
  1. E/Aは加齢とともに低下する。
  2. 下肢挙上ではE波は減高する。
  3. 脱水ではE波の減高をきたすので、E/Aは低下する。
  4. 偽正常化パターンではバルサルバ手技にてE/Aは増加する。
  5. 弁尖より左房側にサンプルボリュームを置くとE/Aは低値となる。

[3]僧帽弁Mモードエコー図でB-B’stepが出現する状況はどれか。2つ選べ。
  1. Ⅰ度房室ブロック
  2. 左室拡張早期圧上昇
  3. 左室拡張末期圧上昇
  4. 脱水
  5. 左房拡大

[4]経食道心エコー図検査において、技師が行えないものはどれか。2つ選べ。
  1. 検査後の食事指導
  2. 患者への検査説明
  3. 挿入された後の探触子操作
  4. 断面描出のための医師への指示
  5. キシロカインスプレーによる咽頭麻酔

[5]呼吸困難と胸痛を主訴に来院した66歳男性の12誘導心電図を示す。心エコー図検査では、短軸および心尖部アプローチで左室の壁運動異常は無かった。この先どのような病態を予想しながら心エコー図検査を進めるべきか。正しいもはどれか。1つ選べ。

図05

  1. 急性大動脈解離
  2. 急性肺塞栓症
  3. たこつぼ型心筋症
  4. 急性心筋炎
  5. 心タンポナーデ

[6]負荷心エコー法について、正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. ATP(アデノシン三リン酸)負荷心エコー法では心筋虚血の評価はできない。
  2. 運動負荷心エコー法は非生理的であり、良好な画像が得られないことがある。
  3. ドブタミン負荷心エコー法で、biphasic response(二相性反応)とは低用量で壁運動が改善し、高用量で悪化することをいう。
  4. 低用量ドブタミン負荷心エコー法は心筋バイアビリティ(生存心筋)の評価を行う。
  5. 負荷心エコー法では、心内膜面同定のためのコントラスト剤の使用は禁忌である。

[7]深部静脈血栓(DVT)に対する超音波検査について、正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 急性期DVTにおける血栓エコーは高輝度である。
  2. カラードプラ法による血流欠損はDVTの直接的所見である。
  3. 急性期DVTでは伴走動脈より大きく、圧迫法で完全な非圧縮部分となる。
  4. 慢性期DVTでは圧迫法で不完全な非圧縮部分となる。
  5. 急性期DVTを疑う場合、その確定診断のため下腿ミルキングを行う。

[8]高血圧性心疾患の左室心筋重量係数(LVMI)と相対的左室壁厚(RWT)について、正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. LVMIが正常でRWTが増大している場合を遠心性リモデリングという。
  2. LVMIが増大しRWTが正常な場合を遠心性肥大という。
  3. LVMIとRWTがともに増大している場合、求心性肥大という。
  4. RWTが0.42を超えなければ左室肥大ではない。
  5. LVMIは左室拡張末期径、心室中隔および左室後壁壁厚、および心拍出量で計算する。

[9]正しい組み合わせはどれか。2つ選べ。
  1. 総肺静脈還流異常・・・右房圧負荷
  2. 心室中隔欠損・・・・・左室圧負荷
  3. 動脈管開存・・・・・・左室容量負荷
  4. ファロー四徴症・・・・右室圧負荷
  5. 心膜欠損・・・・・・・右室容量負荷

[10]正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 心筋組織の運動速度は、心腔内血流速度と比較すると非常に速い。
  2. パルス組織ドプラ法では、サンプルボリューム内の瞬時最大心筋移動速度が得られる。
  3. カラー組織ドプラ法の画質は、断層法の画質に依存しない。
  4. 組織ドプラ法は角度依存性がない。
  5. スペックルトラッキング法とは、形態画像を画像処理して組織の動きを追跡するものである。

[11]高血圧性心疾患について、誤っているものはどれか。2つ選べ。
  1. 左室壁厚の増大があれば左室肥大と定義される。
  2. 左室圧負荷が持続すれば壁張力を増大させ、その代償機構としてLaplaceの法則に基づき左室の求心性肥大が出現する。
  3. 求心性肥大とは左室壁厚の増大があり、かつ心筋重量の増大を認める場合をいう。
  4. 左室心筋重量の測定法にはMモード法、断層法、3D法から求める方法がある。
  5. 高血圧性心疾患では遠心性肥大を示すのが特徴であり、もっとも予後が悪いとされている。

[12]収縮性心膜炎の心エコー図所見について、正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 左室流入血流速波形拡張早期波は吸気で増高する。
  2. 右室流入血流速波形拡張早期波は吸気で減高する。
  3. 心室拡大を認める。
  4. 心室中隔の異常運動を認める。
  5. 下大静脈拡張を認める。

[13]たこつぼ型心筋障害について誤っているものはどれか。2つ選べ。
  1. カテコラミン分泌過多により心基部の無収縮がみられる。
  2. 壁運動が改善しても心電図異常(深い陰性T波)は約1ヶ月続く。
  3. 脳卒中の後、一過性に起こることがある。
  4. 急性心筋梗塞との鑑別には、冠動脈造影を行う。
  5. 男女比は9:1と男性に多い。

[14]下大静脈について正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 右房圧上昇時には下大静脈径の呼吸性変動が小さくなる。
  2. 高度三尖弁逆流では肝静脈血流の収縮期逆流波形が消失する。
  3. 心房細動になると下大静脈径は縮小傾向が認められる。
  4. 健常例での下大静脈径は15~20㎜以下である。
  5. 収縮性心膜炎では下大静脈径は縮小する。

[15]正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 心房細動において、モヤモヤエコーがなければ、左房内血栓は否定できる。
  2. 左心耳には櫛状筋と呼ばれる肉柱があり、血栓との鑑別に苦慮することがある。
  3. モヤモヤエコーはワーファリンの投与で消失する。
  4. 壁運動の低下した左室内に塊状エコーを認めた場合は、血栓を考えるべきである。
  5. 肺塞栓症例では左房内に血栓が観察されやすい。

[16]腱索レベル左室Mモード心エコー図を示す。正しいものはどれか。2つ選べ。

図16

  1. 左室拡張末期径は約4㎝である。
  2. 左室壁厚は正常範囲である。
  3. 左室収縮末期径は約3㎝である。
  4. 左室壁運動は亢進している。
  5. 左室は右室に圧排されている。

[17]心臓の基礎疾患がない場合でも、心拍出量の増加により、機能性に収縮期雑音を聴取することがある疾患はどれか。2つ選べ。
  1. 甲状腺機能低下症
  2. 褐色細胞腫
  3. 脚気
  4. 胆石症
  5. ビタミンA欠乏症

[18]誤っているものはどれか。2つ選べ。
  1. 左房血栓は僧帽弁閉鎖不全症に合併することが多い。
  2. 前壁中隔梗塞例では、心尖部血栓の合併を考慮に入れて検査をしなければならない。
  3. エコー輝度の低い血栓は、古い血栓であることが多い。
  4. 左心耳の血栓は、経胸壁心エコー図検査での検出率が低い。
  5. 心房細動例において除細動前の経食道心エコー図で血栓を認めなくても、除細動後に左心耳内に血栓が形成されることがある。

[19]正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. Unroofed coronary sinus の血行動態は心室中隔欠損と同様である。
  2. 静脈洞型心房中隔欠損は、経胸壁心エコー図検査では診断できない。
  3. 乳幼児の心房中隔欠損は自然閉鎖することがある。
  4. 完全型心内膜床欠損は、共通房室弁口である。
  5. 心房中隔欠損は右室拡大を伴い、完全右脚ブロックになることが多い。
 動画Ⅰ ワンルック問題 (8題)
 ※試験問題のウェブ公開にあたり、画像圧縮処理を要したため試験会場での動画像より画質が劣化しているものがあります。実際の試験では鮮明な動画が表示されます。
[1]正しいものはどれか。1つ選べ。
  1. 心室中隔欠損症
  2. 僧帽弁閉鎖不全症
  3. 仮性心室瘤
  4. 大動脈解離
  5. 心室嚢胞
 [動画1 ファイルサイズ:346KB]
[2]正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 心尖部左室壁菲薄化を認める。
  2. 左室内血栓を認める。
  3. 仮性左室瘤を認める。
  4. 真性左室瘤を認める。
  5. 右室拡大を認める。
 [動画2 ファイルサイズ:186KB]
[3]1歳女児。心雑音で受診した。大血管短軸断面のカラードプラを示す。正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 雑音は高調な拡張期雑音を呈すると思われる。
  2. 下大静脈の径が重症度判定に有用である。
  3. 右房の拡大が早期に出現する。
  4. 左室容量負荷が重症度の評価に有用である。
  5. 下行大動脈では拡張期逆方向流が観察される。
 [動画3 ファイルサイズ:171KB]
[4]正しいものはどれか。1つ選べ。
  1. 僧帽弁狭窄
  2. 重複僧帽弁口
  3. 僧帽弁クレフト
  4. 僧帽弁逸脱
  5. 僧帽弁穿孔
 [動画4 ファイルサイズ:160KB]
[5]30歳女性、全身性エリテマトーデス(SLE)と診断されている。労作時の呼吸困難が増悪したため、心精査の目的で心エコー図検査を施行した。誤っているものはどれか。2つ選べ。
  1. 拡大した右室により心室中隔が左室側に圧迫され、左室は収縮期に三日月状を呈している。
  2. 中等度以上の三尖弁逆流を認める。
  3. SLEによる肺高血圧が疑われる。
  4. 心タンポナーデをきたしている。
  5. 心房中隔欠損症に伴う右室容量負荷所見を認める。
 [動画5 ファイルサイズ:535KB]
[6]下行大動脈の病変について正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 大動脈解離
  2. 可動性プラーク
  3. 大動脈瘤
  4. 潰瘍性病変
  5. 大動脈縮窄
 [動画6 ファイルサイズ:131KB]
[7]考えにくい疾患はどれか。2つ選べ。
  1. 陳旧性心筋梗塞
  2. 拡張相肥大型心筋症
  3. 心アミロイドーシス
  4. 心サルコイドーシス
  5. 心ファブリ病
 [動画7 ファイルサイズ:56KB]
[8]正しいものはどれか。1つ選べ。
  1. 左房内腫瘍を認める。
  2. 左室内腫瘍を認める。
  3. 右房内腫瘍を認める。
  4. 右室内腫瘍を認める。
  5. 心外腫瘍を認める。
 [動画8 ファイルサイズ:439KB]
 動画Ⅱ 高度問題 (3題)
 ※試験問題のウェブ公開にあたり、画像圧縮処理を要したため試験会場での動画像より画質が劣化しているものがあります。実際の試験では鮮明な動画が表示されます。
[1]適切なものはどれか。2つ選べ。
  1. 左室過剰運動は左心不全を表している。
  2. 後尖の塊状高輝度エコーはリウマチ性弁疾患を疑わせる。
  3. Medial scallopの逸脱と診断される。
  4. 腱索断裂と診断される。
  5. 重度の僧帽弁逆流の合併が推定される。
 [動画1 ファイルサイズ:656KB]
[2]19歳男性。今まで心臓病を指摘されたことはなかった。18歳ごろから運動時に息切れを感じることはあったが放置していた。19歳になり、会社の健康診断で心電図異常を指摘され、心エコー図検査を施行した。心エコー図では小さい心房中隔欠損を認める。安静時酸素飽和度は93%であるが、トリプルマスター運動負荷後は71%に低下する。

正しい所見はどれか。2つ選べ。
  1. 左房外側にみられる巨大な腔は、冠状静脈洞である。
  2. 総肺静脈還流異常が疑われる。
  3. 直ちに手術が必要である。
  4. 小さな心房中隔欠損であり、放置可能である。
  5. 欠損孔の大きさに見合わない肺高血圧があり、右アプローチをする。
 [動画2 ファイルサイズ:584KB]
[3]正しいものはどれか。2つ選べ。
  1. 両心房に腫瘤エコーを認め、その腫瘤エコーは心房中隔を介して連続している。
  2. 腫瘤エコーには石灰化を示唆する高輝度エコーがみられるが、この所見から、粘液腫はほぼ除外できる。
  3. 腫瘤エコーは血栓の可能性がもっとも高い。
  4. 腫瘤エコーには血流シグナルが豊富に認められ、悪性腫瘍が疑われる。
  5. 経胸壁での心窩部アプローチや経食道エコーは、腫瘤と心房中隔の関係を観察するのに有用である。
 [動画3 ファイルサイズ:966KB]
 [動画3-ファイルサイズ大 ファイルサイズ:1,863KB]